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海苔粗朶を浪の出て来るかぎりなし 山口誓子

 海苔。一年中食べている感じがしますが、海苔にも旬があります。

 クリスマス以降の海水が冷たい時期に採った海苔が美味しいのです。

 となると早くても年明け。

 大体1〜4月が旬です。

 海水の温度は気温よりも少し遅れますので。


 日本語の「のり」というのは水中で岩石にくっついている苔のような藻

 を指す総称です。

 ですから、テングサやヒジキも昔はノリと言っていました。

 「糊」の字を訓読みで「ノリ」と言うのは、昔、ヒジキが接着剤として

 使われていたからです。紙と紙とをくっつけていました。


 海苔を食べていた歴史は古く、大宝律令にも税として海苔が納められていた

 ことが書かれています。

 今、2月6日が海苔の日となっていますが、それは大宝律令が702年2月6日

 に定められたからだそうです。


 江戸時代になると東京湾で採れた海苔を紙を漉く技術で薄く紙状に仕上げる
 技術が生まれ、これが浅草海苔として大評判になりました。


 いま食べている海苔は殆どこの紙海苔ですね。


 一方アサクサノリと書くとこれは植物の種類になります。

 江戸時代に食べられていたのはこのアサクサノリの浅草海苔ですが、

 養殖が難しく今では絶滅寸前の品種となっています。


 アジア以外ではイギリスのウエールズでLaverbreadと言う名前で食べられていますが紙海苔ではありません。

 海藻のまま茹でてペースト状にパンに塗って食べます。

 しかし、ごく一部の地域だけのようです。


 美味しい海苔は口の中で壊れて香りが広がります。

 それは殆どの場合、薄い海苔です。

 厚くて固い海苔は口の中で壊れないのであまり海苔の香りがしません。

 と言うよりも品質の落ちる海苔を厚く漉いているのです。

 それは色を黒く見せたい、ご飯を巻きたいという需要があるので厚くて固い

 海苔が売れるのです。

 ほとんどの場合高級海苔は厚く漉いて作ることはありません。

 折角の香りが生きるのは一部分だけになるからです。

 焼く場合も磯の香りが残る程度のレアが芳香が広がります。



  海苔粗朶を浪の出て来るかぎりなし      山口誓子
                               
              http://feels-season.com/sakusha.html

 (山口誓子:大正〜平成にかけての俳人。ホトトギス時代は、水原秋桜子や
  高野素十、阿波野青畝とともに四Sと呼ばれる。モンタージュ法などを
  駆使した斬新な作風は戦前の青年たちを魅了した。芸術院賞を受賞。
  文化功労者)




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