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季題・季語に沿った俳句、川柳、短歌、和歌、手紙

衣被つるりと今日の終りかな 山口伸


 今回から読んで戴く方、はじめまして。
 
 いつも読んでくださる方、ありがとうございます。けん詞です。

 このブログは俳句の季語・季題に使われる言葉を解説していきます。


 今の時期になると小料理屋でお通しに出てくる衣被。

 そういえばお通しという風習は全国的なものではないようです。

 関西の人はお通しを出されると「こんなもの注文していない」と言い、

 「これは座ると出てくるものだ」と説明を受け、最後に料金に入って

 いるのを見て「サービスじゃなかったのか?」と怒ると言います。

 確かに店によっては不味いお通しを出してきますからね。

 チェーン店でなく、粋な縄暖簾であれば、美味しい衣被が出てくる

 ことでしょう。


 さて衣被とは平安時代に貴婦人が外出するとき、衣被と呼ばれる小袖を

 被ったことから、その様子に似ているということで名付けられた料理で

 里芋の小さいものを皮のまま蒸すか茹でるかして、食べるときに皮を

 剥きます。つるりと剥けるのが特徴ですね。

 料理されていない里芋は衣被とは呼ばないのですが、地方によっては

 石川早生という品種の芋を指すこともあるようです。

 陰暦八月の十五夜に添えるのも里芋と団子です。

 そのためこの日を芋名月とも呼びます。

 十五夜に里芋を添えるのは米作以前の日本社会では里芋が主食だった

 ためとか。

 今でも元日の雑煮に里芋を入れたり、土地によっては里芋を餅より先に

 食べる風習があるのは里芋が主食の名残と言われています。

 この里芋のぬるぬるした成分はガラクタン、マンナン、ムチンなどで

 美容や解毒効果があるとのことです。

 このため、芋名月が中天にかかると昔の人たちは競ってお供えの里芋を

 食べました。夜露のついたサトイモを食べると若返ると言われていました



   衣被つるりと今日の終りかな   山口 伸

(山口 伸:安城市生まれの俳人。安城文化協会名誉会長)

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